旅のたのしみはモーニング

旅の楽しみは、ホテル近くのモーニング

あーそれなのに・・・

私は旅に関して小さなこだわりを持っている。

それは、ホテルに宿泊する際、近くの喫茶店を見つけて朝食モー

ニングを楽しむことだ。

もともと地方都市の「駅前」が好きで、大体は駅前のホテルに好ん

で泊まる。

なぜかと言うと

駅は「その町の顔」と形容されるが、おそらく駅を中心にこの町

は少しづつ栄えていったのだろうと、町の成り立ちを想像しなが

ら、散歩するのは楽しいからだ。

皆さんも経験があるかもしれないが、旅の朝はなぜか朝早く目が

覚める。

私の場合、天気が良いとなればササっと洗顔を済ませ、そそくさと

ホテルの外に出る。

各都市に個性があってそれぞれすばらしいが、その中でも特に気に

いったのは、金沢市。

金沢の駅前には「鼓門」と呼ぼれる木造の門があって、それがまた

主張がすごい。

なんでも金沢の伝統芸能である能楽の鼓をモチーフにしているとい

う。

そうかと言って、伝統一点張りではなく、近くにはガラス張りのド

ームも構えていて言うなれば伝統と近代建築が見事にマッチして、

私の旅心を大きく揺さぶってくれるのだ。

金沢駅前のホテルで宿泊した私は、いつものように「さてさて、今

朝のモーニングはどこにしようかな?」と心躍らせながら立ち並ぶ

建物を吟味する。

「ここ、いいじゃん」と直感でおしゃれなカフェに入る。

これぞ旅の醍醐味とばかりに、今日一日の予定を考えたりしなが

らコーヒーを優雅にすすると旅情が深まる。

旅情とはかけ離れた話しだが、数日前、松山千春のコンサートが

あったので、札幌で一泊した。

もちろん、朝はモーニングと決め込んでいた。しかし、北海道って

あまりモーニング文化が浸透していないらしい。

本州と比較してラインナップがやや乏しいし、店探しも苦戦す

る。

それでも、ネットで調べてなんとか1件見つけて妻と二人で入店し

た。

店内は、昭和の雰囲気がプンプンと漂うレトロな感じで味があって

いい。

そこには関西弁で会話している、総勢8人ほどの御一行様がい

た。

店は60代くらいの女性が一人で切り盛りしてるようで、忙しそ

う。

私たちは迷うことなくモーニングセットを注文した。

ほどなくして運ばれてきたお皿に目をやると、厚切りのトーストに

キャベツのサラダ、そして目玉焼きが・・・

おや、なんだこの目玉焼き・・・

黄身の部分がまるでプラスチックのようにカッチカチ、白身はたぶ

ん裏側は焦げまくっているだろうなってわかるほど。

一目で「焼きすぎ」とわかり妻と一瞬目があったが、せっかくの

朝食だ、二人は黙って食べ始めた。

すると、突然妻が咳き込んだ、「どした?」「焦げたとこ、喉にひっ

かかった」

「水飲め!」私は目玉焼きの焦げで喉詰まらせたなんて、滑稽で仕

方なかった。

その店を出てから、「目玉焼きで喉詰まったのも、これもいい思い

出だべや」と

揶揄したが、妻は「最初、食品サンプルでも出てきたかと思った

わ」と苦い顔して

言ったのがそれまたおかしくて、歩きながら大笑いしてホテルに戻

った。

旅人を魅了する日本屈指の観光地、北海道。

豊かな「食」のイメージもあるが、ちょっとこれでは寂しいな。

朝からカニやイクラもいいが、もし、旅の思い出の一ページが、目

玉焼きの焦げで喉を詰まらせた、なんて綴られたら北海道人として

残念だなぁ。

そんな思いをした出来事だった。

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